トップ  >  様々な「地域再生論」を知る  >  本間義人「地域再生の条件」

この章では、都市の住宅政策を専門とする毎日新聞社から法政大学教授になられた本間義人氏の著作取り上げます。

代表的な著作としては、岩波新書の「地域再生の条件」があります。 まず、最初にこの本の章立てをご紹介します。

第一章:「なぜ地域再生なのか」
第二章:「人権が保障された地域をつくる」
第三章:「地場産業で生活できる地域をつくる」
第四章:「自然と共生し、持続可能な地域をつくる」
第五章:「ヨコ並びでない地域をつくる」
第六章:「住民の意思で地域をつくる」
第七章:「地域再生に向けて」


といった章で構成されています。

地域再生という課題への論旨は、 「現状の都市から、農山村までの疲弊(自然、住民の生活、仕事などその全てにおいて)が見られ、それらの再生は、政府のリーダーシップで実現するのではなく、地域の住民の意思、参加のみが実現する」 というものです。
本間氏の言葉を借りれば、国の有名無実な三位一体の改革に対して、地方自治体と住民は異議を申し立て、独自の条例づくりにより「地域のグランドデザイン=地域を守り、育てる計画づくり」を実現するということになります。そのポイントとして、「福祉の充実」を上げています。


基本的には、大変わかりやすく、現実の国の政策の問題点や地域の現状に即した内容で読みやすい本でした。

地域再生というテーマへの入口としてわかりやすく、一気に読める、本として、入門編一押しの本です。
何より、読み物として、読みとおしやすい本でした。
この本で残念なのは、 地域の自然と環境と住民の営みが時間的に積み重ねられてつくられる=風土 への着目が、第五章の「ヨコ並びでない地域をつくる」で「地域の資源と環境をいかす」とした部分だけで語られていることでしょうか。様々な年代の住民がその重層化した風土の影響化(その一部として)に生活してきていることを理解する必要があります。こうした風土への視点無しには、地域再生(成長と躍動)は不可能ではないかと思います。本間氏の「住民の人権=福祉」への着目は、現実の行政が向かっている流れとしては、決して間違ってはいないと思います。ただ、その地域に生きる全ての世代への活き活きとした生活を提供する手法としては、非常に狭く、部分的で、ともすると若者や中年の働く世代を置き去りにしてしまうことになりかねないように思えます。 次に、こうした風土にも着目した方の著作もご紹介します。 <この章、了>

プリンタ用画面
友達に伝える
投票数:24 平均点:3.75
前
宮内泰介「人々の自然再生(歩く、見る、聞く)」
カテゴリートップ
様々な「地域再生論」を知る
次
経営から考える「地域再生」「都市再生」とは