【インドの木珠の伝統的な素材とは】

仏教発祥の地のインドでの数珠については、仏教の聖樹であるインド・ボダイジュ=天竺菩提樹の実は、使われていないようです。

前田行貴博士「佛蹟巡禮」によれば、インド原産の樹木やジュズ・ボダイジュなどの果実が利用されているようです。以下に転載して、ご紹介します。

<転載、部分>

インドの数珠は主として白檀、沈香、紫檀、黒檀、鉄刀木、トゥルシーなどの木質性のものと、ジュズボダイジュ、ハス、ムクロジュ、クルミ、ビンロウ(椰子の種)などの果実中の種核を108個綴った製品とがある。

プッダガヤーやラージギル(王舎城)の名産は菩提珠の数珠となってはいるが、天竺菩提樹の小さい無花果状の果実または材質部分で作れないことはないが、作品の価値が少ないのである。ボダイジュの数珠の中では二種類の系統があり、金剛菩提珠と称する品は、インドからマレー半島やインドネシヤの海浜地帯に自生するジュズボダイジュ別名コンゴウシノキと称するホルトノキ科の植物で、種核の表面に縦溝及び小瘤起を有して美しいので、大型のものはインドの出家者や苦行者が所持しているが、小型の整った品は特に婦人用の数珠として貴重とされる。インドではルドラクシャー(魔除け)と呼び、常に首にかけておくと血圧調整をするので有名である。金剛菩提珠に対して一方法眼菩提珠があり、法眼菩提珠はさらに鳳眼・竜眼・虎眼・心眼の4種類に分けられ、一般に多いのは一つ目状の鳳眼であるが、竜眼は三角帯状の上に支点の眼があり、これを通常「三つ目」と称し、さらに四角帯の上に目があるものを虎眼と称し、「四つ目」といい、さらに五角帯の上に目があるものを心眼と称し「五つ目」と呼んでいる。

 元来、法眼菩提珠はビハール州のラージギル(王舎城)を中心に囲んだ五山一帯の叢林から、ネパール国境地帯に達する叢林に自生しているナツメ科の、丸型の果実を有するマルナツメの品種の核である。鳳眼が普通品で竜眼や虎眼は稀れであり、心眼になるとさらに少ない。竜眼も虎眼も心眼も共に鳳眼の変異品である。

数珠に詳しい比丘たちが欲するものはその変異品であるが、いわゆる山岳密教における稀少価値信仰の遺風である。

なお日本では、星月菩提珠と称する月の周りに星の点の多い、美しく磨かれた光沢の数珠が有名であるが、その星月菩提珠は蒙古産のもので、インドでは製産されていない。インド人の数珠商が香港で仕入れて、プッダガヤーで売っている。

<転載、以上>

【前田行貴氏とは】

1926年 熊本に生まれる。熊本大学理学部研究科終了。スウェーデン・ウブサラ大学留学、理学博士。1955年 ガンジーの思想に共鳴し、渡印。ガンジーアシュラムで生活。ワルダ大学、ガンジー大学、パンジャブ大学教授を歴任。1963年 マザーテレサと野外治療に参加。大英博物館学芸員(ガンダーラ美術専攻)、東京国立博物館学芸員。【著書】『佛跡巡礼』(東方出版)『スリランカ佛跡巡礼』(マインドウェア)『日本文化の源流インド』(マインドウェア)『ラーマーヤナ物語』(青娥書房)など他多数

●それぞれの素材についての情報は、提携先の「桜草数奇」の以下のカテゴリーをご覧ください。


<木質素材>

白檀>
沈香
紫檀
黒檀
鉄刀木
トゥルシー

<果実、及び果実の種核>

ジュズボダイジュ(金剛菩提樹、ホルトノキ科コンゴウシノキ)>
法眼菩提樹(ナツメ科マルナツメの一品種)>
ハス
ムクロジュ
クルミ
ビンロウ(椰子の種)

<この項、続く>
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素材となる樹種、木種