トップ  >  酒雑学、備忘録  >  季節の酒・年中行事と酒  >  7月・文月 その1:寿司源と夏の魚(佐々木久子、「酒 はる なつ あき ふゆ」より)
【寿司源と夏の魚】

佐々木久子氏の「酒 はる なつ あき ふゆ(元酒縁歳時記から)」の夏の酒“そうめんと古猫”という章に夏の魚とその魚を提供してくれる馴染みの店として、八丁堀の「寿司源」の話題が掲載されています。その一節を以下に転載、ご紹介して、夏の魚と酒という話をします。


<転載、部分>

夏の魚の王者は、なんといってもスズキとアユ。

スズキは出世魚である。セイゴから、フッコ、そしてスズキになる。セイゴと呼ぶ幼魚のときはあまりおいしくないが、春のフッコは、もう確かな旨さがある。
東京の八丁堀にある「寿司源」では、フッコのいいのが入ると“スズキさnご到来”と声を掛けてくれる。
この「寿司源」さmじゃ、江戸時代の下町ツ子の良さを残している数少ない握りずしやで、シャリの具合が実にいい。今一つ、この店を私が熱愛する理由がある。
それは、この店では、お酒を頼むと、
「御酒だよ!!」
とお酒に愛情こめてハリのある声を店中にひびかせてくれるのである。
近ごろシャクにさわって仕方のないことの一つに、すしやでも季節料理やでも、赤坂あたりのお茶屋でも、なにをどう間違えているのか、ウイスキー水割りばかりを出す。
すしやでウイスキーのボトルがズラリと並んでいるのをみると、私はバーへ入ったのかと一瞬錯覚をするほどである。
従って、お酒を頂戴ね、と注文すると、ポカンと口をあけて、
「へえ? 酒ですか?」
と逆に聞き返すほどなのである。何を食べる時も全て水割りオンリーが当然のようになってしまった日本で、
「御酒」と丁寧に言ってくれるすしやさんは、今はもうこの「寿司源」さん唯一軒ではあるまいか。私は涙がでるほどうれしいのである。


<転載、以上>

もちろん、夏の魚の話なのだが、この「御酒だよ!!」という「寿司源」さんのくだりとこの当時、ウイスキーの水割りが爆発的に流行(サントリーの洋種ブーム戦略の結果)ったことを思いだし、その時々の流行の恐ろしさを今の日本で考えるときに良く、この一文が頭に蘇ってきます。いまなら、ビールか、サワーとでもなるのでしょうか?もちろん、日本酒ブームもあり、今は、すしやで「へえ?酒ですか?」などということは無いのですが、当時の雰囲気を知っている自分としては、忘れられない記憶の一つとなっています。この後、夏の魚については、以下のように続きます。

<転載、部分>

瀬戸内海のスズキは、洗いにして食べるのが極上。島根県近海でとれるスズキは、奉書焼きが逸品であった。
スズキと共に、すしやにいけば必ず食べるのがアワビ。貝類の殆どは、冬が旬であるが、アワビばかりはすばぬけた夏の味覚である。


<転載、以上>

そして、この後に、この章の本題のそうめんと猫の話がでてくるのです。
ただ、東京育ちの私には、瀬戸内海育ちの久子さんの「瀬戸内海の魚」の旨さが書かれたこの文がいつも思い出されて、夏には、瀬戸内海に行って、スズキとアワビを食べるのだと心に誓ったものでしたが、実際には、実現せずじまいでした。もちろん、東京にもこうした魚を食べさせてくれる店もあるはずで、瀬戸内海の魚を看板に掲げる店もあるだろうことはわかっているのですが、やはり、実際に瀬戸内海に行って食べたいというのが本音です。
カワハギは、当時干物しか、東京で手に入らなかったのが、今では刺身も手はいるようになって、我が家でも時々買うことがあるのですが、瀬戸内海のスズキと出会うこともあるのでしょうか…。


【八丁堀の寿司源について】

今も、営業されてます。その雰囲気は、以下の写真(食べログより、転載)で十分かもしれません。住所は、八丁堀2-15-3です。一度、訪ねてみたいと思っています。


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